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外科

肝臓がんを含む肝腫瘍

肝臓

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、異常があっても自覚症状が出にくい特徴があります。そのため、肝臓がんは進行してから発見されることが少なくありません。

しかし、近年の医療技術の進歩は目覚ましく、肝臓がんの治療においても、患者さんの負担を軽減しつつ根治性を追求する「低侵襲手術(腹腔鏡やロボットを用いた手術)」が広まっています。

低侵襲手術は、開腹手術と比べるとお腹の中が乾燥することがなく、癒着を減らすことができ、さらに癒着の原因となる出血も減らすことができます。現状、肝臓の低侵襲手術は欠かすことのできない術式といえます。

当院でも、肝臓領域でのロボット支援手術を実施しており、より安全で質の高い外科治療の提供が可能となっています。





肝臓の血流を遮断しない低侵襲肝切除

ロボット肝切除イメージ

肝臓は血流が非常に豊富な臓器であるため、肝切除においては出血管理が重要となります。
現在、多くの施設では、出血量を減らすために一時的に肝臓への血流を遮断する手法が用いられています。しかし、この手法は肝臓に強い炎症が起こり、肝臓がんの再発を助長する可能性が示されています。
当院では、血流遮断をしない肝臓の切除が最良の術式と考え、「肝臓の血流を遮断しない低侵襲肝切除」を行っています。出血や合併症はほとんどなく、良好な成績をおさめています。




肝臓がんのロボット支援手術-特長・メリット

ロボット手術ダビンチ5 肝がんロボット手術


ロボット支援手術の特長

ロボット支援手術は、腹腔鏡下手術の低侵襲性を有しながら、さらに精密な操作が可能な点が特長です。
腹腔鏡下手術は、腹部に小さな穴を開け、内視鏡カメラや手術器具を挿入して行う低侵襲手術ですが、器具の動きが直線的で操作の自由度が低く、2次元映像のため奥行きを把握しにくいという課題がありました。
ロボット支援手術では、高画質な3D映像で患部を拡大しながら、人間の手首以上の可動域を持つロボットアームを操作することができ、より複雑な手術への対応が可能となっています。


高精細な3D拡大視野
ロボットの内視鏡は、術野を肉眼の10~15倍に拡大した3D映像で映し出します。カメラの手ぶれがなく、安定した視野を確保できます。細かな血管や胆管、神経構造をより鮮明に確認でき、損傷リスクを低減します。
多関節機能と手ぶれ補正
ロボットアームの鉗子は、人間の手首よりも広い可動域を持ち、手ぶれを自動補正します。微細で正確な操作が可能となり、出血しやすい肝臓内の血管を丁寧に処理できます。
術中ナビゲーションの活用
術中超音波やICG蛍光法などを併用し、腫瘍の位置や脈管走行をリアルタイムで確認することで、より安全で正確な肝切除をサポートします。



ロボット支援手術のメリット

小さな傷で済むこと、出血量が少ないこと、術後の癒着が少ないことが、ロボット支援手術の代表的なメリットです。特に肝臓は血流が豊富な臓器であることから、出血量を抑えることが手術の安全性に直結します。また、再発の可能性がある肝臓がんでは、将来的に再手術が必要となる場合もあり、術後の癒着が少ないことは大きな利点となります。


傷口が小さく目立たない
数カ所の小さな切開で手術を行うため、開腹手術のような大きな傷跡が残らず、美容面での満足度が高いです。
出血量の抑制
高精細な3D拡大視野と精密なロボットアーム操作により、細かな血管の処理が丁寧に行え、手術中の出血量を大幅に抑えることができます。そのうえ、腹腔内に炭酸ガスを注入して腹腔内圧を上げる「気腹」は、肝臓の切離面からの出血(特に圧の低い肝静脈からの出血)を減少させる効果があります。
癒着の少なさ
開腹手術と比較して、体腔内が空気に触れる時間が少ないため、術後の腸閉塞などの原因となる癒着が起こりにくいとされています。
術後の痛みの軽減
傷口が小さいため、術後の痛みが開腹手術に比べて軽減されます。
回復が早く入院期間が短い
身体への負担が少ないため、術後の回復が早く、早期の社会復帰が可能です。



ロボット・腹腔鏡・開腹手術の比較

  ロボット支援手術 腹腔鏡下手術 開腹手術
傷口 数カ所の小さな穴 数カ所の小さな穴 大きな傷
痛み 軽い 軽い 強い
出血量 非常に少ない 少ない 多い
入院期間 3~5日 5日 7~10日
回復・社会復帰 早い 早い 遅い
残る肝臓の量 多い やや多い 少ない



手術適応となる肝腫瘍の種類

ロボット支援肝切除術は、良性・悪性を問わず様々な肝腫瘍に適応されます。2022年4月に保険収載され、適応範囲が拡大しています。

原発性肝がん
(肝細胞がん、肝内胆管がん)
肝臓の細胞そのものから発生するがんで、肝細胞がんが最も多くを占めます。腫瘍の数や大きさ、肝機能の状態などを総合的に判断し、ロボット支援手術が選択肢となります。
転移性肝がん
大腸などの他の臓器から肝臓に転移したがんも適応となります。多発性であっても、4カ所の切除まではロボット支援手術を行いますが、それ以上の場合には開腹手術となります。
肝良性腫瘍
肝血管腫や肝のう胞(大きさが10cm以上の場合や症状がある場合)など、症状がある場合や大きさが問題となる良性腫瘍も、ロボット支援手術の対象となることがあります。

※ただし、腫瘍の大きさや位置、血管や胆管への浸潤の程度、患者さんの全身状態によっては、開腹手術が選択される場合もあります。

最先端の肝臓の切除をご希望の方や他院で切除ができないと判断された肝腫瘍の方は、当院で切除可能な場合もありますのでご相談ください。



監修医師

梶岡裕紀先生   外科_ 2026

外科 医長
梶岡 裕紀



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