午前8:30~11:30
午後13:30~16:30

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、異常があっても自覚症状が出にくい特徴があります。そのため、肝臓がんは進行してから発見されることが少なくありません。
しかし、近年の医療技術の進歩は目覚ましく、肝臓がんの治療においても、患者さんの負担を軽減しつつ根治性を追求する「低侵襲手術(腹腔鏡やロボットを用いた手術)」が広まっています。
低侵襲手術は、開腹手術と比べるとお腹の中が乾燥することがなく、癒着を減らすことができ、さらに癒着の原因となる出血も減らすことができます。現状、肝臓の低侵襲手術は欠かすことのできない術式といえます。
当院でも、肝臓領域でのロボット支援手術を実施しており、より安全で質の高い外科治療の提供が可能となっています。

肝臓は血流が非常に豊富な臓器であるため、肝切除においては出血管理が重要となります。
現在、多くの施設では、出血量を減らすために一時的に肝臓への血流を遮断する手法が用いられています。しかし、この手法は肝臓に強い炎症が起こり、肝臓がんの再発を助長する可能性が示されています。
当院では、血流遮断をしない肝臓の切除が最良の術式と考え、「肝臓の血流を遮断しない低侵襲肝切除」を行っています。出血や合併症はほとんどなく、良好な成績をおさめています。

ロボット支援手術は、腹腔鏡下手術の低侵襲性を有しながら、さらに精密な操作が可能な点が特長です。
腹腔鏡下手術は、腹部に小さな穴を開け、内視鏡カメラや手術器具を挿入して行う低侵襲手術ですが、器具の動きが直線的で操作の自由度が低く、2次元映像のため奥行きを把握しにくいという課題がありました。
ロボット支援手術では、高画質な3D映像で患部を拡大しながら、人間の手首以上の可動域を持つロボットアームを操作することができ、より複雑な手術への対応が可能となっています。
小さな傷で済むこと、出血量が少ないこと、術後の癒着が少ないことが、ロボット支援手術の代表的なメリットです。特に肝臓は血流が豊富な臓器であることから、出血量を抑えることが手術の安全性に直結します。また、再発の可能性がある肝臓がんでは、将来的に再手術が必要となる場合もあり、術後の癒着が少ないことは大きな利点となります。
| ロボット支援手術 | 腹腔鏡下手術 | 開腹手術 | |
| 傷口 | 数カ所の小さな穴 | 数カ所の小さな穴 | 大きな傷 |
| 痛み | 軽い | 軽い | 強い |
| 出血量 | 非常に少ない | 少ない | 多い |
| 入院期間 | 3~5日 | 5日 | 7~10日 |
| 回復・社会復帰 | 早い | 早い | 遅い |
| 残る肝臓の量 | 多い | やや多い | 少ない |
※ただし、腫瘍の大きさや位置、血管や胆管への浸潤の程度、患者さんの全身状態によっては、開腹手術が選択される場合もあります。
最先端の肝臓の切除をご希望の方や他院で切除ができないと判断された肝腫瘍の方は、当院で切除可能な場合もありますのでご相談ください。

外科 医長
梶岡 裕紀